自分の感受性くらい・雲海

 

 

自分の感受性くらい

 

ぱさぱさ乾いてゆく心を

人のせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

 

気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

 

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもがひよわな志にすぎなかった

 

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

茂木のり子

 

 

 

雲海

 

地上から

見ているのは

じつは

雲の裏側だった

と気づく

精神が

低いところを

徘徊していては

生きることの意義の

輝かしい表は

見えないと

雲海は

告げている

 

 

 

 

高校受験の時の恩師が

教えてくれた二つの詩です。

だれか、覚えている人はいるだろうか

一つ目のは、茂木のり子さんの、

二つ目のは、誰のものかわからないけど、

いまなら、だれかわかるかも、あくまで仮説だけど。

 

悔しいけれど

何度もくりかえし読み返すわけです。